鑑別診断1-3)

ある症状を引き起こす病気を絞り込み、確定させるためにおこなわれる診断を「鑑別診断」といいます。
統合失調症と診断するためには典型的な症状が1ヵ月続く、何らかの症状が6ヵ月以上持続する、といった基準がありますが、実際は症状が間をおいて現れたり、比較的穏やかだったりすることがあります。特に発症初期の段階では、確実に統合失調症と診断できないことがあります。
また、統合失調症の陰性症状は、うつ病など、ほかの病気や障害にみられる症状との区別が難しいことが多く、この症状だけで統合失調症と診断することはできません。
そのため、
現れている症状が統合失調症によるものなのか、統合失調症とは別の精神疾患によるものなのかを、経過をみながら見極める(鑑別する)必要があります。
統合失調症の鑑別診断では、問診のほか、CT*やMRI*による画像検査で別の脳の病気を調べることがあります。ほかにも心理検査、血液検査、髄液検査、脳波検査などがおこなわれます。
- 参考文献
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- 日本統合失調症学会監修, 福田正人ほか編: 統合失調症. 医学書院, 東京, 2013, pp. 25-36
- 尾崎紀夫ほか編: 標準精神医学 第8版. 医学書院, 東京, 2021, pp. 296-297
- 白石弘巳監修: 患者のための最新医学 統合失調症 正しい理解とケア. 高橋書店, 東京, 2015, pp. 40-41, 70-77
用語の解説
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- CT(シーティー)
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コンピュータ断層撮影検査(Computed Tomography)といい、人体の横断面に約1cmおきにX線を当てて、そこで得た情報をコンピュータで解析し断層画像にして、体内の様子を調べます。
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- MRI(エムアールアイ)
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磁気共鳴画像法(Magnetic Resonance Imaging)といい、装置のガントリ(筒状の部分)内に磁場を発生させたうえで、電磁パルスで体内の水素原子を共鳴させます。それにより生じる微弱な電磁波を受信して画像化し、体内の組織などを調べます。