統合失調症に似た症状が現れる病気
(その他の疾患・障害など)1, 2)
(その他の疾患・
双極性障害(いわゆる躁うつ病)やうつ病、パーソナリティ障害などでも、統合失調症に似た症状がみられます。また、身体疾患の一部にも、統合失調症に似た症状を引き起こすものがあります。さらに、薬物の使用によっても似た症状が生じることがあります。
これらの症状と統合失調症による症状を鑑別する必要があります。

双極性障害(躁うつ病)、うつ病
双極性障害(躁うつ病)の躁状態は、統合失調症の陽性症状によく似ています。また、双極性障害やうつ病の抑うつ状態は、統合失調症の陰性症状によく似ています。
双極性障害とうつ病はまとめて「気分障害」と呼ばれていた時期があり、今でも使われることがあります。症状が「気分」に関連して変動することが、「思考」の障害である統合失調症との違いです。
統合失調型パーソナリティ障害
パーソナリティ障害では、周囲の人や物事に対応するときの考え方や行動のパターンがうまく働かず、人づきあいや社会生活に支障が生じます。
そのうち統合失調型パーソナリティ障害は、独特なこだわりや思い込みを特徴とします。時として思考や認知、会話が患者さんの周りに奇妙な印象を与えることがあり、統合失調症の症状に似た状態を示すことがあります。
なお、一般に統合失調型パーソナリティ障害の人が示す考え方や行動は統合失調症の症状よりも穏やかで、統合失調症の診断基準を満たしません。
身体疾患から生じる精神症状
たとえば以下のような身体疾患から、精神症状が生じることがあります。
- 脳腫瘍
- ウイルス性脳炎
- 側頭葉てんかん
- せん妄
- 甲状腺疾患
CTやMRIによる画像検査、血液検査、髄液検査、脳波検査などをおこない、精神症状の背後にこれらの身体疾患が潜んでいないかどうかを確認します。
薬物の使用から生じる精神症状
麻薬や覚せい剤の使用によって幻覚や妄想が引き起こされることがあるため、これらの薬物の使用歴がないかどうかを確認します。医師から処方された薬によって精神症状が出ることもあるため、処方薬の有無も確認します。
- 参考文献
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- 白石弘巳監修: 患者のための最新医学 統合失調症 正しい理解とケア. 高橋書店, 東京, 2015, pp. 70-77
- 糸川昌成監修: 健康ライブラリー イラスト版 統合失調症スペクトラムがよくわかる本. 講談社, 東京, 2018, pp. 34-35, 38-41