症状が安定していても薬を続けましょう
統合失調症は、幻覚や幻聴などの症状が取れて落ち着いてみえても、とても再発しやすい病気です。

統合失調症が再発する原因1-3)
統合失調症は、以下のようなことが引き金となり、再発することが多いとされています。
- ストレスが強くかかるライフイベント(受験、進学、就職、結婚、転勤、転居など)があったとき
- 家庭環境(家族による批判的・否定的なコメントなど)
- 投薬・服薬をしていない/止めている
この中で、最も大きな影響があるのは、「投薬・服薬をしていない/止めている」です。
「勝手に投薬・服薬を中断すると2年以内に80%以上が再発する」とされています4)。
再発による悪影響2-3, 5)
再発すると、急性期の陽性症状(幻覚、妄想、興奮など)がぶり返してしまいます。再発の悪影響はそれだけにとどまらず、再発を繰り返すほど症状を抑えるのに時間がかかるようになってしまい、再発前の状態に戻りにくくなるとされています。また、必要な抗精神病薬の量も増えてしまいます。
投薬・服薬を続けると再発リスクが低くなります3, 6, 7)

抗精神病薬は陽性症状を改善する効果に加え、再発を予防する効果をもっています。薬を続けた場合と、薬を中断してしまった場合とを比較すると、再発率は約1/5にまで低下します。
つまり、たとえ症状が軽くなって薬を止めたくなっても、薬物療法を続けて再発を防ぐことがとても重要なのです。
もし再発してしまったとしても再入院の可能性が少なくなるといわれています。
- 参考文献
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- 尾崎紀夫ほか編: 標準精神医学 第8版. 医学書院, 東京, 2021, p. 293
- 日本精神神経学会: 久住一郎先生に「統合失調症」(薬物療法)を訊く. 2016年3月. [2021年7月3日閲覧]
- 丹羽真一編: インフォームドコンセントのための図説シリーズ 統合失調症. 医薬ジャーナル社, 大阪, 2014, pp. 12, 22
- 丹羽真一編: やさしい統合失調症の自己管理 改訂版. 医薬ジャーナル社, 大阪, 2013, p. 73
- Kane, JM: CNS Spectr. 2007, 12(10 s17), 21-26
- Robinson D, et al.: Arch Gen Psychiatry. 1999, 56(3), 241-247
- Valenstein M, et al.: Med Care. 2002, 40(8), 630-639