統合失調症ナビ

監修: 藤田医科大学医学部 精神神経科学講座 教授
岩田 仲生 先生

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感情表現が乏しくなったり、
意欲が低下したりする「陰性症状」とは?1, 2)

陰性症状の「陰性」とは「本来あるはずのものがない」という意味で、症状としては感情の平板化や意欲の減退、集中力・持続力の低下などがあります。

多くは急性期の陽性症状がおさまったあと、休息期にみられる症状です。

<感情の平板化(感情鈍麻)>喜怒哀楽の表現がうまくできなくなる

単なる気分の高揚や落ち込みとは異なり、感情そのものの動きが鈍くなり、起伏も乏しくなります。

感情のあらわし方がわからなくなり、喜怒哀楽の表現がうまくできなくなります。

<意欲の減退>意欲や気力が低下する

仕事や家事、勉強などへの意欲や気力がわかず、取り組むことができなくなります。

周りのことに興味や関心を示さなくなり、入浴や洗面、着替えなど、身だしなみを整えることにも無頓着になります。

<集中力・持続力の低下>何かに手をつけても続けることができない

集中力が低下し、何かに手をつけても続けることができなくなります。

同時に複数のことをおこなうことが困難になり、疲れやすくなります。

<対人コミュニケーションの支障>人とのかかわりが減り、引きこもりがちになる

他人とのかかわりを避け、自室に引きこもりがちになります。

1日中、何をすることもなくぼんやりと過ごし、社会性が低下します。

陰性症状は症状として認識されにくく、周りの人から「なまけている」「やる気の問題」「努力が足りない」などと誤解されがちです。症状の1つであることを、周りの人が理解することが大切です。

参考文献
  1. 白石弘巳監修: 患者のための最新医学 統合失調症 正しい理解とケア. 高橋書店, 東京, 2015, pp. 40-41
  2. 糸川昌成監修: 健康ライブラリー イラスト版 統合失調症スペクトラムがよくわかる本. 講談社, 東京, 2018, pp. 20-21
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