発症の誘因となる危険因子

統合失調症がなぜ起こるのかは、まだはっきりとわかっていません。
現在のところ、ストレス・脆弱性(ぜいじゃくせい)モデルの考え方から、原因は1つではなく、さまざまな原因が複雑にからみ合って発症すると考えられています。

発症の原因は?〜いくつかの要因が考えられています〜

統合失調症が発症する原因としては遺伝や、脳の変化、環境因子などいくつかの要因が考えられています。

遺伝が原因?〜遺伝はあくまでも原因の1つにすぎません〜

統合失調症では遺伝的な要素があると考えられていますが、あくまでも原因のうちの1つに過ぎません。たとえば全く同じ遺伝子をもった一卵性双生児が2人とも発症するわけではなく、その割合は50%程度です。また、統合失調症の患者さんの家族を調べても、両親の約9割は統合失調症ではなく、兄弟を含めてもその割合は約8割とされており、さらに甥や姪まで調べても約6割とされていますから、遺伝は発症の原因の1つでしかないことがわかります。病気が遺伝するのではなく、病気のなりやすさが遺伝すると捉えることが大切です。

脳の変化とは?〜妊娠期・出生時の障害の影響も原因の1つにすぎません〜

いくつかの統合失調症の患者さんの脳について調べた研究では、脳の萎縮がみられること、前頭葉や側頭葉という部位が小さいこと、海馬や扁桃体という部位がとくに左側で小さいこと、前頭葉の機能が低下していることなどが報告されていますが、これらが発症にどのように関与しているのかについてはまだわかっていません。
また、お腹の中にいるとき(胎児期)のウイルス感染や栄養不良、出生時の無酸素状態などで脳の機能的な障害が生じ、成長期の神経系の発達や成熟に影響を与えてしまった場合に、発症の原因になるのではないかと考えられています。したがって、これら妊娠期や周産期の障害があったからといって発症するわけではなく、危険因子の1つにすぎません。

性格は関係するの?〜よくみられる気質・性格があるといわれています〜

統合失調症の人には一定の性格傾向があることが知られています。たとえば、内気でおとなしく、控えめ、神経質なところがあるかと思えば無頓着であったり、傷つきやすいなどの気質です。人と交わるのが苦手で、一人でいることを好む傾向もしばしば見られます。これらはすべての人に当てはまるわけではありませんが、発症と何らかの影響があるのではないかと考えられています。

環境の影響は?〜ストレスフルな環境は改善しましょう〜

かつて養育環境の悪さが発病の主因と考えられたことがありましたが、現在ではこの考え方は支持されていません。養育環境はあくまでも発症の1つの要因にすぎません。しかし、養育環境を含めたストレスフルな環境は統合失調症の発病に影響すると考えられています。

ストレス・脆弱性モデルとは?〜“もろさ”にいくつかの因子が重なって発症するという考え方〜

図:ストレス・脆弱性モデル

統合失調症の発症については、1つの原因に起因するものではなく、いくつかの危険因子が重なって発症するというストレス・脆弱性モデルが考えられています。病気になりやすい“もろさ”(脆弱性)があるところに、周囲のストレスフルな環境や重大なライフイベントなどのさまざまなストレスがかかることが発症の引き金となるという考え方です。