問診と診断基準

統合失調症は症状や現れ方が多彩であるため、発症初期の症状があまり目立たない場合では統合失調症と気づかない場合が少なくありません。統合失調症は発症からなるべく早い段階に診断・治療に結びつけることができれば、それだけ良好な予後が期待できる病気ですから、少しでも疑われる場合には医療機関を受診することが大切です。
また、本人に自分が病気であるという自覚がない、いわゆる“病識がない”状態では受診を拒否することが少なくなく、本人をどのように説得して受診に結びつけるかは多くの家族が悩む問題です。本人に何も説明せずになかばだます形で受診させるケースがみられますが、そうなると本人が家族や病院に対してひどく不信感を抱き、その後の治療がうまく進まなくなる原因となることがありますので、できるだけ根気よく説得して受診させることが望ましいといえます。

イラスト:問診の様子

本人および家族への詳細な問診が診断のベース

統合失調症の診断では、本人または家族との問診を中心に進められます。問診では、下記の項目などが中心に聞かれます。

  1. どのような症状が現れたか
  2. 症状はいつから始まったか
  3. 症状がどのように経過したか
  4. 社会・生活にどの程度の支障がみられるか

この他にも、生育歴、既往歴、家族歴などの情報も診断には欠かせません。本人に病識がなく、意思の疎通が図りにくかったり、対人不信が強く拒否的な態度が往々にしてみられることで、特に興奮状態にあると本人への問診が困難となります。その場合、家族への問診を中心に進められます。

診断基準に基づいた統合失調症の診断

統合失調症の診断は、診断基準をベースに行われます。診断基準としては、WHO(世界保健機関)の国際疾病分類である「ICD-10」と、米国精神医学会の「DSM-5」の2つが主に使われています。これらの診断基準では、統合失調症にみられる症状を記述した診断項目を多数あげて、それらに当てはまる項目がいくつあるかによって決めるようになっています。
DSM-5の診断基準では陽性症状(幻覚や妄想など)や陰性症状(感情の平板化や意欲の低下など)が認められ、社会的・職業的機能の低下した状態が持続する場合に統合失調症が疑われます。

統合失調症の診断基準(DSM-5)

  1. 以下のうち2つ(またはそれ以上)、おのおのが1カ月間(または治療が成功した際はより短い期間)ほとんどいつも存在する。これらのうち少なくともひとつは(1)か(2)か(3)である。
    • 妄想
    • 幻覚
    • まとまりのない発語(例:頻繁な脱線または滅裂)
    • ひどくまとまりのない、または緊張病性の行動
    • 陰性症状(すなわち感情の平板化、意欲欠如)
  2. 障害の始まり以降の期間の大部分で、仕事、対人関係、自己管理などの面で1つ以上の機能のレベルが病前に獲得していた水準より著しく低下している(または、小児期や青年期の発症の場合、期待される対人的、学業的、職業的水準にまで達しない)。
  3. 障害の持続的な徴候が少なくとも6カ月間存在する。この6カ月の期間には、基準Aを満たす各症状(すなわち、活動期の症状)は少なくとも1カ月(または、治療が成功した場合はより短い期間)存在しなければならないが、前駆期または残遺期の症状の存在する期間を含んでもよい。これらの前駆期または残遺期の期間では、障害の徴候は陰性症状のみか、もしくは基準Aにあげられた症状の2つまたはそれ以上が弱められた形(例:奇妙な信念、異常な知覚体験)で表されることがある。
  4. 統合失調感情障害と、「抑うつ障害または双極性障害、精神病性の特徴を伴う」が以下の理由で除外されていること
    • 活動期の症状と同時に、抑うつエピソード、躁病エピソードが発症していない
    • 活動期の症状中に気分エピソードが発症していた場合、その持続期間の合計は、疾病の活動期および残遺期の持続期間の合計の半分に満たない。
  5. その障害は、物質(例:乱用薬物、医薬品)または他の医学的疾患の生理学的作用によるものではない。
  6. 自閉スペクトラム症や小児期発症のコミュニケーション症の病歴があれば、統合失調症の追加診断は、顕著な幻覚や妄想が、その他の統合失調症の診断の必須症状に加えて少なくとも1カ月(または、治療が成功した場合はより短い)存在する場合にのみ与えられる。

DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル 原著:American Psychiatric Association 日本語版用語監修:日本精神神経学会 監訳:高橋三郎/大野 裕 訳:染矢俊幸/神庭重信/尾崎紀夫/三村將/村井俊哉, 医学書院, 2014.

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